23-24FMSテキスト編
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〜ボートはこうして艤装する〜第4章:ベスト・フィッティング・ボート編77テーマは2〜4名でボトムフィッシングを本格的にマイボート・スパンカーライトⅢの設置スパンカーの利用アンカーによる掛かり釣り、パラシュート型アンカーによる流し釣りにスパンカーを利用することで、船はかなり安定します。60%の効力しか得られない船舶であっても、アンカーやパラシュート型アンカーを投入することで船首を風上に向かせてくれます。その時スパンカーを展開している船舶は、船の揺れを小さくし、安定させ、左右のズレもなくしてくれるので、フィッシングはしやすくなります。マイボートシリーズのPL座セットを利用して、フォアデッキ、アフターデッキでフィッシング。キャビン中央に見えるのが、ロッドラックDTR-2ダブルを装備した状態。使い方はいろいろで、デッキブラシ、タマ、竿のラックとして利用できます。設置場所に関しても両デッキより有効利用できる位置で、通り抜けの邪魔にならないようです。FMSマリンカタログ第3章ボトムフィッシング&フィッティングアウト内にスパンカーの有効性というテーマで詳しく解説していますが、このボートの場合、A点水面上船体の側面投影面積中心がほぼ中央部にあり、B点水面下投影面積中心はアウトドライブ分の面積ぐらいが中央部よりやや後ろにあります。したがってこの船は、海上で船首を風上に向けて停止した時、だんだん船首を風下に向けていき、真後ろ近くまで向いてしまうことになります。キャビン前のロッカーは、メーカーの仕様ではロープ類やフェンダーを入れると便利な大型ロッカーとなっていました。構造的な強度、水密性などロッカーの中に海水を汲み入れても大丈夫かよく観察したところ、十分耐える構造であると判断しました。そこでスパンカーの効力を得るために水中ポンプ(マリンペット70ℓ/分)で海水を汲み上げテストしてみたところ、ロッカー容量の約1/4、140ℓの海水を溜めると船首はほぼ風上を維持してくれる最も有効的にスパンカーを装備する工夫●ボート全体のバランスからみると少し大きめですが、1ランク上のスパンカーを選定。●1ランク上のスパンカーなのでトップヘビーになり、横揺れが大きくなるので下桁高さを低めに設定。●展開、収納時の作業性が悪くならない限界まで船尾位置に設定。キャビン前ロッカーの利用ベストフィッティング・ボート 〜ボートはこうして艤装する〜3つのこういった工夫をした結果、スパンカーの有効性は70%まで効力を得られるようになりました。さらにB点水面下船体の側面投影面積中心を船首方向に移す努力として、船尾を浮かして船首が沈むように、船尾ハッチにはできる限り船用品を置かないようにして、キャビン内を含め船首方向に搭載するようにしています。ようになり、大成功でした。140ℓ溜めるのに2分、排出するのにも2分という作業時間ですので、漁場に到着してから作業すれば十分です。※走航中はバウトリムになり大変危険ですので必ず海水を排出して走航するようにしてください。[24フィート インボード・アウトドライブ]標準ではライトⅢは下桁高さ1,200 mmですが、マスト下部を切断して800mmとしています。サイドロープステー位置に関しては、竿を振る時に邪魔にならないようセンターから400mm幅で固定しています。オプションのセイルカバーはセイルに直接セットしているので、収納時には簡単にカバーすることができ、セイルを紫外線や、風によるバタツキから保護しています。展開時には、スナップシャックルを付け替えることでロープ1本で展開できるようにしています。TOPRUN FX24Z・アンカーによる掛かり釣り・パラシュート型アンカーによる流し釣り・スパンカーによる一本釣り(流し釣り)FMSマイボート・シリーズを中心とした艤装のスタートですが、このボートはスパンカーの有効性に問題があり、スパンカーを装備して適用する船舶の条件でみると60%の効力しか得られないケースに該当します。スパンカーのサイズや取り付け位置などを工夫することや、より有効性を高めることなどを考えての艤装になりました。ボトムフィッシングを中心とした艤装 

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