23-24FMSテキスト編
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編トウアグンイテッィフ&グンシッィフ・トーボ )グンシッィフムトボ:(章3第44▼船を船首方向から見ると風の抵抗を受けにくい形状をしていることがよくわかります。船尾にはスパンカーのセイルが両舷に開いて見えます。船全体の面積と比較するとわずかな面積です。開き止めロープのコントロールは下桁を左右に開くことで、前方からくる風により圧力を感じますが、それだけ後ろに下がる力も大きくなります。通常12度前後が一般的ですが、船に合った角度を探すことで操船による制御が容易になります。基本的には風が弱い時には開き、船が後ろに下がりすぎてしまう時には狭めますが、その日の風の強さや潮流の方向によってコントロールする必要があります。できるだけ開かないで使うことが理想です。基本編5イラストⅡの条件で潮流が速くなった場合基本編6スパンカーを装備した船の操り方の基礎を整理すると●スパンカーは風があることで有効性を発揮します。●スパンカーに当たる風によってスパンカーの下桁コントロールで船首を潮流の方向に向かせることができます。●風と潮流が異なり船首が風上に向いていると潮流によって喫水下船底にあたえる影響は船尾側の方が多く受けます。●風と潮流の方向が異なりどちらも船首方向からの場合は風が強くなっていくことにはある程度対応できますが、潮流が速くなると対応できなくなります。●風と潮流の方向が異なり潮流が船尾方向から流れる場合、ある程度までは潮流に対応することができます。●投入した仕掛けがどんどん流れていくような速い潮流ではスパンカーによる一本釣り(流し釣り)は不可能です。スパンカーを装備した船舶を自在に操ることによってボトムフィッシングを行なうことは、釣り指向のボートオーナーなら誰でも望むところ。船首を風下に流されにくいタイプのフィッシングボートの登場により、有効なスパンカーシステムを装備することでいよいよ実現できるようになりました。小型フィッシングボートは波の高さがある時は無理ができないことや、軽量で喫水が深く入らないため風の影響を受けやすいことなどの短所はありますが、フィッシングボート本来の釣り機能は充実してきていイラストⅡの条件で潮流が速くなると、喫水下の船底にあたる潮流によって船首はB船のように左舷側に向こうとしますので、船はスパンカーの下桁コントロールを行なわなくても制御しやすい方向に向かうのですが、投入する仕掛けは船が流されるスピードより速く潮流に流されてしまいます。潮流が速くなると釣人がよく対策する方法としてオモリの重さを重くする方法がありますが、その方法にも限界があります。さらに船を後進させ仕掛けを追いかけようとすると適度の後進ならよいのですが、一軸船は特に前進する舵効きと比べ方向性が定まらない不安定な制御となります。したがって潮流が速くなることは投入した仕掛けが流れやすくなり、船を制御する基準を失うことにつながり、速くなればなるほど船は潮流についていけなくなってしまいます。よく漁業者が「今日は潮が速くて釣りにならない」と言っているのはこのような状況のことを指しています。仕掛けを投入するのに水深の2倍のラインを出しても届かないような潮流の場合にはほとんど釣りになりせん。ます。スパンカーを装備した船舶を自在に操ることは、船の操り方の基礎をしっかりと習得した上で様々な経験を積むことで覚えていく世界です。日本中探してもテキストや説明書はないようです。プロの船頭でも自船の能力をよく知ることで船を操ることを身体で覚えています。小型フィッシングボートでスパンカーを装備した船が増えることによって、ボトムフィッシングのレベルは向上することは間違いなさそうです。スパンカーとは! 水面上船体の側面投影面積中心を船尾方向に移動させることで、船首が風下に向かないように補う装置であり、イラストⅢ▲船首が風下に向いていきます。船尾のスパンカーセイルの面積がどんどん大きくなっていきます。船首が風下に向かないように補う装置がスパンカーです。その効力によって潮流の方向に船を制御しながら獲物を狙う道具です。

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