23-24FMSテキスト編
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 ボート・フィッシング&フィッテイングアウト編第3章:(ボトムフィッシング)41◀操船者は2人の釣りの様子を見ながら魚探で水深と魚の反応をチェック。まだ釣り始めたばかりなので船の制御と魚の反応のチェックは最も重要な作業です。この仕事を怠ると広い海、魚がいない所では釣りになりません。イカの反応は大群なら魚探によく映るのですが、少ないと判断が非常に難しいため、操船者は自分の釣りよりもまずは他の2人に釣らせることを優先して操船しています。▶水深90m、75〜80mに反応あり、操船者は2人にそのことを知らせいよいよ仕掛け投入のスタンバイ。その気配を感じて他の2人は竿先を大きく前後に開き投入しやすいようにしています。小型フィッシングボートではこのような配慮も重要なテクニックと言っていいはずです。さらにここでもうひとつ注意点、3人の仕掛けはできるだけ同じ仕様にすること、特にオモリや仕掛けの長さが異なると潮流により流され方が変わってしまうため、オマツリをひき起こしてしまいます。基本編3いよいよ3人でのフィッシングのスタートですスターンデッキに位置する人(以下後者と呼ぶ)の仕掛けの投入によって船を制御する確認ができた操船者は、船のクラッチを前進に入れ、先に仕掛けを投入している後者のラインが後方に傾くぐらいのところで船を止め、バウデッキの釣人(以下前者と呼ぶ)に仕掛けの投入を指示します。この動作はスパンカーを装備した船を操るテクニックのひとつです。潮流によって仕掛けは船首方向に流されます。したがって後者が先に仕掛けを下ろしているので、予め後者の仕掛けより船を先に進めながら前者の仕掛けを投入すれば、この仕掛けが目的の水深に届くころ両者の仕掛けは真直ぐに下りていることになります。このテクニックはオマツリを避けるためにも必要なことで、潮流が速い場合には特に重要になります。操船者はロッドキーパーに竿をセットしてついに仕掛けを投入。その仕掛けが下りていく間も船を制御する船長はさすがです。3人の竿先間は約3m。水深75〜80mの反応に仕掛けを入れるのですから細心の注意が必要になります。この日の潮流は比較的緩やかなため、2人の間になんとか投入することができましたが、潮流が速い場合にはとても無理なこと。やはり潮下の者から順序良く投入することが基本でこのことも重要なテクニックになります。さて前後の2人、操船者が反応ありと合図してから、ロッドキーパーに竿を置かず2人ともシャクリ動作を繰り返えしていたかと思ったら、仲良く小型のムギイカを釣り上げてしまいました。操船者の仕掛けがポイントの水深に届いたころ、この2人にはイカが掛かっていてすでに巻き上げ始めていました。やはり反応があった時仕掛けが入っていた2人に乗る確率は高く、後から追い掛けた操船者の仕掛けまでイカは待っていてくれなかったわけです。このあたりがボートフィッシングで操船者が釣りをする難しさ。どうしても釣りに専念できる他の2人に比べると差が出てしまう一面であります。

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