23-24FMSテキスト編
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 ボート・フィッシング&フィッテイングアウト編AABBAABAB第3章:(ボトムフィッシング)33A:水面上船体の側面投影面積中心 A':スパンカーを装備して移動した中心 B:水面下船体の側面投影面積中心 ←:風の流れる方向A点が船首側にある(船舶)風圧を受けると船首は風下に向いていきます。B点が船尾側にある(船舶)船首側は水の抵抗を受けにくいことになります。よってA点が船首側にあり、B点が船尾側にある船が、停止中に船首側から風圧を受けた場合船の船首には、風下に向く力が加わり、A点とB点が離れていればいるほど、その力は増えていきます。2.スパンカーを装備して適用する船舶の条件 スパンカーの効力がえられない船舶に対して、スパンカーを装備して適用する船舶はどのような船なのかということになります。ここでは適用する船舶を段階をもって紹介し、理想的な条件とはどのような船舶であるかを追求してみました。このケースが適用する船舶として限界の範囲と考えます。船を前進させて推進力をつけてやれば船首は風上に向きやすい位置であり、この位置より船首が風下に向かないかぎり、スパンカーを装備しない船舶とくらべれば大きな差がつくことになります。(真横より船首を風下に向かせてしまう船舶は、装備をいくら工夫しても、スパンカーが適用しない船舶ということになります)●水面下船体の側面投影面積中心が船体の中央付近にあり、全体に喫水が深く入り、ボトムにセンターキールが付いていればさらに良く、バウエントリー(船首喫水部)などが深く入っている船舶。●水面上船体の側面投影面積中心が船尾方向にあり、ハルや上部構造物(ハウス)の面積が小さく、低い船舶。 いいかえれば重心位置が低く、風に対して横流れしない風上立ちの良い船舶ということになるのですが、近年のボート事情はフィッシングボートと称していても、上部構造物の中で特にハウスの大型化や船体の軽量化にともない、この全てをクリアーする船舶は少ないですが、ボトムフィッシングを楽しもうとする船舶は、この条件が少しでも良いものを選ぶことが適切であるということになります。 下に向かないように補う装備がスパンカーであり、その効力は水面下及び水面上船体の側面投影面積中心の位置に最も影響されるものであるため、船の種類やタイプによっては装備すると有効な船舶と、スパンカーのサイズや形状をいろいろと工夫しても効力が得られない船舶がありますので、どのような船舶にも有効な装備ということではありません。A’A'風下に流れる場合スパンカーを装備することにより、AをA'の方向に移動させることができ、風圧により船尾を風下に向かせやすくすることができます。このように水面上船体の面積中心を船尾側に移す方法としてスパンカーを装備するのですが、Bの位置によってその効力は大きく影響され、Bの位置が船首方向に近いほど有効で、さらに喫水が深く入り、横流れしない船ほど有効性があることになります。このケースなら100%とはいかないが十分にスパンカーの効力を活用できる船舶でありますが、45°より風上に向くケースと向かないケースとでは、船の操船による制御が大きく異なってきますので深いポイントなどの釣りに影響していきます。このような船舶は、スパンカーのセイル面積や形状、マストの位置などを十分検討して、できるだけ風上に向くように適切な装備をすることが重要です。最も良いケースです。仮に10°程船首を向かせてしまうケースでも、スパンカーを制御することでカバーできる範囲ですし、風が弱くなって30°近く船首を風下に向かせたとしても、あまり船の制御には影響しないはずです。むしろスパンカーが適用する船舶なのに、大きすぎるセイルであったり、装備の仕方で使いづらく、船のもつ機能をおとしていないかということが重要です。船首が風下に向いていく理由波と潮流の影響がない場所で風速3〜5m/secの風を船首から受けてスパンカーを展開して停止した条件の中でB点A点.水面上船体の側面投影面積中心B点.水面下船体の側面投影面積中心A'風に対して真横を向いて風下に流れる場合A点風に対して45°まで船首を風上に向けてスパンカーが船にあたえる有効性スパンカースパンカーの効力がえられない船舶A'風に対して船首を風上に向けてA’A’BB面積が少ない面積が少ないB点が船尾に近い位置にあり、船首方向の面積が少ない船舶や水面下船体の面積に対して、水面上の船体の面積が異常に大きくAの位置が船首方向に近い位置に在り、喫水が浅い船舶。このような船舶は、いくら大きなスパンカーを装備しても風の圧力では船首を風上に向かせてくれません。大きな要素だけ記しましたが、このような船舶がスパンカーの効力を得られない船舶ということになります。バウエントリー風下に流れる場合Ⅲ.スパンカーによる一本釣り(流し釣り)アンカーによる掛かり釣り、パラシュート型アンカーによる流し釣りと紹介してきましたが、両者ともそれぞれの長短所があり、さまざまなポイントでいろいろな漁法によりボトムフィッシングを楽しもうとするならば、やはりスパンカーを利用した一本釣り(流し釣り)をマスターする必要があります。船首が風下に向かないようスパンカーで補い、潮流の方向に船を制御しながら獲物を狙う一本釣りでは、スパンカーが重要な役目を果たします。1.スパンカーの有効性 波と潮流の影響がない場所で船首を風上に向けて停止した時、そのままの向きを維持して風下に流れる船舶は、ほとんどないはずです。多くの船舶はだんだんと船首を風下に向けていき、船舶によっては真後ろに向いてしまうものもあります。このように風の影響だけでも船首を風上に向けていられない船舶が潮流の影響を受けて流された場合、船首を風上側にもどさなければ潮流の方向に船を制御して流すことは困難になります。すなわち船首が風スパンカーが適用する理想的な船舶の条件

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