23-24FMSテキスト編
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ボートフィッシング&フィッティングアウト編第1章:(トローリング)66pointpoint魚の脂肪分は酸化しやすく固まりにくく、家畜は酸化しにくく固まりやすい。魚体の大きさにより熟成速度は変化します。基本的に大きいほど熟成は遅くなります。熟成は魚→鶏→豚→牛の順で遅くなります。(腐りにくい)白身の魚より赤身の魚の方が熟成が早く、その理由は少ない酸素の量で細胞が活動するには体内酵素の活性度が高くなるからです。塩水解凍が良いのは魚体内の自由水を最小限にして急速に解凍できるからです。フィッシュボックスは冷凍ストッカーなので氷を作る際には水から入れずに氷の状態にしてから入れるようにすることで冷凍庫の寿命がのばせます。豆知識123家庭用冷凍庫の冷凍室は通常−18℃。ですが実際には開閉の度合いなどによって、−12℃前後にしかなっていないことが多いようです。これでも水分は凍りますので一見すると凍りついているように見えますが、実際には完全に芯までは凍りついていません。タンパク質や酵素、脂質などは凍結していないので、中に入れた食材が数週間で味も食感も極端に落ちてしまいます。超低温冷凍なら魚肉成分のすべてを凍結できますので、タンパク質の分解も抑えられ、脂質の酸化も止められます。ですから半年にも及ぶ保存が可能になったのです。どの生物も命が絶たれた後に熟成をはじめ、酸化、腐敗への道を歩み始めます。このような変化を止めることができる温度、それが超低温冷−42℃からの世界です。FMS流上手な凍結方法超低温の特徴タンパク質の酵素分解作用の抑制通常、常温で活動を停止させられたタンパク質は酵素分解を行います。例えば釣ったばかりの魚のタンパク質は高分子の状態です。それが酵素分解されることにより低分子化し熟成を進め、進みすぎると腐敗していきます。また、魚の場合体内の水分比率が70%と高いため、家畜の肉と比べて熟成は非常に早く進みます。ですからポイントは、釣れてからいかに早く魚体を超低温にするかであり、熟成する前に超低温に入れて、解凍時に熟成を進めるようにすることが重要なのです。持って帰る魚をおいしく保存するためには酵素分解させない状態で持って帰ることが重要です。その為には釣り上げた魚はすぐにしめて塩水に氷を投入した氷塩水に浸けることにより、−2℃近くの氷温に近い状態で持ち帰ることができます。これは冷凍庫に投入した際に早く凍らせるための下ごしらえと考えてください。−18℃家庭用冷蔵庫の冷凍室で保存したマグロのさくを3ヶ月後に解凍しました。鮮度が落ち、表面が変色しているのがわかります。この環境ではどうしても鮮度が落ちるのを防止することはできません。冷凍する前においしいまま冷凍するには急速冷凍が理想です。しかし、通常家庭で急速冷凍を行うことは非常に難しいのでFMSでは保存する食材に工夫を加えることを薦めています。まず、解凍したときにすべてを食べ尽くさなければいけない、という状況にならないために1食分ずつ解凍できるように小分けしましょう。次に食材ができるだけ早く凍るように表面積を広げ、厚みは薄くしてから凍結を行います。その際には空気を遮断するように心掛け、また乾燥を防ぐ意味でもビニールなどに入れて保管するとうまく凍結します。さらにビニールにはその釣果の情報(○月○日×××沖)などを書き込んでおくと管理しやすくなります。脂肪分の酸化作用の抑制俗に言う冷凍焼けとは食材自体が持つ脂肪分が表面に浮き出し酸化するために色が黄色っぽく変色し、見た目はもちろん味まで落ちてしまいます。これを防止するためには酸化しないように食材の表面を空気に触れさせないのはもちろんですが、さらに超低温の環境下に置くことで酸化活動自体をほぼ止めることができます。塩水を用意超低温で冷凍された食材は思いのほか硬く、短時間での解凍は困難です。空気を媒体とした解凍方法では時間も掛かり、また解凍時にでるドリップ(うまみ成分)の流出量も多くなりあまりお薦めできません。魚、特に海水魚を解凍する場合には浸透圧を利用した塩水解凍が最適です。まず、1リットルに対して35グラムの塩を溶かした3.5%の塩水を作ります。このときの水温は季節に応じて変化しますが基本的には蛇口から出る温度で問題ありません。●美味・快傑板  ーーー 置くだけで自然解凍の約3〜4倍の速さで解凍、旨味エキスや肉汁の流出も極めて少なく、電気もガスも不要でさらに洗いやすく清潔に使用できます。−60℃超低温冷凍庫ダイレイフィッシュボックスで保存したものを同じ条件で解凍しています。鮮度の変化は見られません。冷凍する前とまったく変わらない新鮮さを保っています。サイズ:W200×D296×H43mm厚 さ:3mm 質 量:520g材 質:アルミニューム合金    (表面アルマイト処理)FMS流上手な解凍方法塩水に投入冷凍庫から取り出した魚をまず流水でサッと流してから先ほどの塩水の中に投入します。約5分から10分程度放置して魚体の中心部に芯が残った状態で塩水から出して、表面の水分をふき取り冷蔵庫へ。芯が残った状態にするのはうまみ成分が含まれるドリップを最小限に抑えるためです。朝解凍すれば夜が、夜解凍すれば朝が食べ頃です。塩水の塩分濃度は約3%。これに対して3.5%の塩水を使えば浸透圧の原理で魚体内の不要な水分が取れ、身が締まるので余計なドリップ流出が防げます。微生物の繁殖の抑制家庭用冷凍冷蔵庫の−18℃という環境下でも、微生物の繁殖はほぼ抑えることはできますが、あらゆる種類の微生物の繁殖を抑えるのなら超低温が理想的です。シベリア凍土で出土した1万年前のマンモスが火を通せば食べられる状態にあったのも、−50℃という超低温環境だからこそなせる技なのです。ですからFMSでは超低温冷凍冷蔵庫を使った超低温保存を薦めています。超低温冷凍の世界は−42℃から、皆さんご存知でしたか…!超低温冷凍の世界

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