TIARA-4300コンバーチブル

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トータルコーディネートした艤装の実際

ボートの楽しみ方とボートに対するこだわりを明確に持ったオーナーが、その基準でボートを選び、日本での実情と用途に合った艤装を施せば、輸入艇ならではの魅力を最大限に享受することにもなります。日本の事情に合わない部分は徹底的に改造する。その結果誕生したのは、国産艇にも輸入艇にもない魅力を持ったオリジナル艇でした。

艤装プラン
まずはオーナーと入念に艤装プランを練ることから始め、ボートの入荷を待ちました。そして到着した輸入艇を徹底的にチェックし、このボートの持つ基本的な構造や性格を知ることに1週間を費やしました。便利さを追及するあまり、輸入艇ならではの良い部分を否定してしまうことのないように艤装プランを修正し、その上で最終的なプランを決定しています。
これだけの大型艇になると、実際の作業を行う各分野の専門業者が個別に艤装を行ったのでは、ベストフィッティングボートを完成させることは不可能なレベルでありました。オーナーの指向を十分汲み上げながら練り上げた艤装プランを実際に艤装を施すそれぞれの技術スタッフにうまく伝え、納得のいく仕上がりになるようにトータルコーディネートすることは、大変重要な役割です。


フィッシング艤装
ビッグゲームフィッシング中心の艤装ですが、カジキを狙うだけでなく、毎週のように海に出かけていろいろな魚との出会いをしたいという要望で、曳釣りやボトムフィッシングなども楽しめる方向性で艤装を進めていきました。フィッシング装備でメーカー標準装備はただひとつ、フライブリッジ後方のロケットランチャー。他の装備もメーカーオプションで選ぶこともできたのですが、オーナーの使用目的に合ったアレンジを加えていきたいため全て国内で装備しています。
艤装の内容を紹介しますと……アウトリガー、センターリガーはSCHAEFER社アルミ製ホルダーに曳釣り、ビッグゲームフィッシングを併用するためFRP製のポールを採用。ロッドホルダーはブルワークトップの4ケ所に加え、ロッドラック用としてブリッジサイドに手摺りを兼用したアルミ製のロッドホルダーを装備。ファイティングチェアはLEE'Sタックル社を選び、トランサム内舷より船首方向へ1,400mmの位置にベースを固定しています。オーナーのビッグゲームフィッシングのスタイルは、このファイティングチェアからアウトリガーラインを流すため、ロッドホルダー位置は通常より少し船首方向で装備しています。その他サイド内舷を利用して、フライギャフ、レギュラーギャフ、タマ等のラックを用意し、リールからのハーネスラインを舫う小型クリートを設置。またボトムフィッシング時に使用するPL座セットを両舷4ケ所ずつ設置し、ロッドキーパー、ボックスキーパーを用意しています。

電装艤装
このボートで最も重点的に艤装されているのが航海計器関係。オーナーはボートのキャリアがあり、外洋でのトローリングを目的としているため、航海計器に関しては特にこだわりを持たれた部分です。FBコンソールには納まる範囲内ということで12インチの各機種が、中央にレーダー、左にGPSプロッタ、右に魚探という配置で装備しています。配置の理由としては、オーナーは伊豆七島周辺の海域を熟知しており、GPSプロッタの視認頻度よりも天候不順の場合に障害物をレーダーで確認しつつ航行する際の頻度を優先したため、レーダーを中央、ナビゲーションシート側にGPSプロッタとしています。その他の計器類としては、オートパイロット、水温計、無線設備などを搭載しています。
ロアステーションに関しては、あくまでサブとしての機能であるため、中央部にレーダー、GPS魚探プロッタ各10インチサイズを設置、他のシステムはFBステーションとのデュアルシステムを採用しています。これだけの計器を搭載すれば、当然膨大な電力を消費することになります。そこで標準の配線回路とはまったく別に、追加バッテリーによる新設回路を装備することで対策しています。そしてこの新設回路は、FBステーションの国内で装備した機器関係を使用して、ロアステーションの航海計器を含め他の機器に関しては標準の回路を使用するようにしています。このことにより万が一どちらかの回路にトラブルが発生しても、片方で使用できるようになっています。

集合的なアンテナシステムとしてアルミ製のレーダーアーチを製作しました。レーダーは高機能の計器を付けても高さが低いと十分な情報を入手できないため、ルーフトップにロアステーション用32マイルドームアンテナ、製作したレーダーアーチには96マイルオープンアンテナを設置。その他無線関係のアンテナ等と、GPS、TEL、サーチライトなどが互いに干渉しない場所を見つけて装備しています。

係船艤装
船体重量(排水量)20トンという大型艇であるため、十分な装備と工夫を必要とした艤装となりました。
トランサムに標準装備されているムアリングホールがありますが、日本の桟橋や岸壁では、このホール1個では不足のため、ブルワークトップのコーナー部にステンレスで製作したムアリングホールを追加しています。さらにその前にフェンダー用ホールを装備し、舷が擦れるのを防ぐためステンレスロープガードで保護しています。

ブリッジサイドコーナー部左舷には、フェンダーホルダーをドアが開く裏側を利用して装備し、ドアの当り止めとロックを兼ねた金具を装着しています。右舷コーナー部は少ないスペースのため手摺金具を付け、ロープストラップで係船索やホースのラックとして利用しています。

寄港先の岸壁などで使用する大型フェンダーに関しては、収納スペースが無く、どうにも大型のものが搭載できないため、エンジンルームに小型コンプレッサーを装備し、φ760 mm径の涙型フェンダーを通常は空気を抜いて収納し、使う時だけ膨らます方法で用意しています。

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