BERTRAM-510

カタログPDFはこちら

個人輸入のサポートそして完成度の高い船に施した艤装の実際

この艇のオーナーは、1987年FMSプロデュースにより地域造船で建造したビルフィッシャー 34を購入し、次いで1995年輸入艇TIARA4300コンバーチブルと乗りこなしてこられた方。FMSとは20年来のお付き合いでお互いの信頼関係は完成されていました。そのオーナーにインターネットで探したアメリカの中古艇の購入のサポートを依頼されたのだから大変でした。

この艇のオーナーは、1987年FMSプロデュースにより地域造船で建造したビルフィッシャー34を購入し、次いで1995年輸入艇TIARA4300コンバーチブルと乗りこなしてこられた方。FMSとは20年来のお付き合いでお互いの信頼関係は完成されていました。そのオーナーにインターネットで探したアメリカの中古艇の購入のサポートを依頼されたのだから大変でした。

2005年8月バイキング、バートラムの中古艇情報をインターネットで見ていたオーナーに相談を受ける。初めはまさかFMSが中古艇輸入のサポートをするとは考えていませんでした。しかし、日本のマリン業界の現状ではこれほどのベテランオーナーを満足させる輸入ブローカーに出会うことが出来ないようで、ついにオーナーが個人輸入する形でスタートすることになりました。FMSにはロサンゼルス近郊に設立したFMSAがありますが、船を輸入した経験がないため仕事としてはサポートと言うことで引き受け購入から船積みまでを担当する事になりました。

適切な船がなければこのような話もなかったのですが、きっかけは思わぬところから始まりました。FMSは毎年10月にマイアミで開かれるマリン用品の展示会IBEXショーに行く予定がありました。そこで今までオーナーがインターネットや雑誌で見つけていた船を実際に見てくることぐらいは出来るので…と伝えました。まだそのころは積極的にサポートするまでではなかったのですが、せっかく行くのですから事前に現地のブローカーに連絡を取り、船を見に行くだけのところまでは事を進めて行きました。

もちろん船を選びながらビジネス上のパートナーになるブローカー選びも事前に行っていました。2艇選んでいたのですがまず初めに案内された船の場所はフォートローダーデールにある高級住宅街。なんと庭先の桟橋に50ftオーバーのボートを置いておけるほどの大豪邸。目的のバートラム510は2002年式でエンジン稼働時間は600時間の超美艇です。
大豪邸の庭にはプールがそしてプライベート桟橋へと続きます。

スタッフの豊田とFMSAの山下。本来の出張の目的はIBEXショーでした。

この船が駄目だったら他にはないとブローカーにも一押しされてエンジンルームに入った瞬間にこの船は買いだと思いました。そこから約2時間隅々をチェックしてなぜこんな状態の良い船が売りに出されているのだろう?と疑問符が浮かんできましたが、よくよく聞けばオーナーはすでに別のボートを購入しており、置き場がないために早く手放したいということでした。価格も当時のメーカー小売価格140万ドルに対し3年落ちの同艇は95万ドルと格安でした。そして国際電話でオーナーに報告。ブローカーには「日本に帰ったら必ず買うように説得するから値引き交渉頼むね!」なんて私も浮き浮きしながらその場を後にしたのでした。それにしてもメンテナンスが行き届いた船であったことは事実です。

まだまだ色々とありますが、この場では購入のために立てたシミュレーションを紹介することでFMSのサポートを説明しています。

BERTRAM 510 購入シミュレーション
1.
オファー、買い手はブローカーを通じて売り手に希望価格を提示、両者が販売価格にある程度の合意がなされた時点から商談はスタート。
2. 取引上の問題点を確認する専門的なリヴューが必要なため弁護士を用意。
3. 10%デポジット(期間が短いため2%)
4. 試乗(デポジットしないと試乗できない)
5. サーベィ(この結果により価格が変動)
6. 最終合意〜本契約(売買価格、試乗結果、サーベィ、各種交渉条件が確認同意されればいよいよ最終手続き)
7. 引渡し条件を決定させて代金の支払い。
8. 保険、船積み、日本へ到着、通関そして船舶の登録、検査と続く。

船底のサーベィのため、試乗中にマリーナに立ち寄り上架。

雇い入れたサーベィヤーと共に入念な点検を行いました。

購入後エンクロージャーは現地で装備しました。激安でした!

エアコンのコンプレッサーにトラブルが発生し現地で交換しています。

バートラムの工場。しかも510のラインを見学できました。

日本への輸送はYacht Path Internationalを選択しました。

輸送のため外装品等を保護した後、室内に積み込んでいます。

日本へ輸送する全ての準備が終了した日に写しました。

完成度の高い船に施した艤装の実際

今回輸入したバートラム510は大変完成度の高い船として世界的に知られている上、フロリダの海で本格的にフィッシングを行っていた中古艇でしたので、オーナーが求める装備はほとんど揃っていました。外装で大きく変えたのはバートラムブルーと呼ばれるハルの全ライン及びフライングのハードトップにあるサテライトアンテナをオーナーのシンボルカラーでもあるピンクに塗り替えたところです。このサテライトは日本では使えないので、中味を入れ替えカタログP.183にあるデジタル衛星受信アンテナを装備しています。そして他に大きく目立つ部分として、フィッシング関係ではセンターリガー、ロッドラックの設置。係船関係でフェンダーやロープラック、クリートの追加そしてバウスラスターの設置。FBの電装設備でGPSプロッター、無線、拡声器、サーチライトの設置。エンジンルーム内は海水コシキ、清水、海水、ビルジポンプの増設、インバーターの設置。室内ではウオッシュレット、CD/DVDのオーディオ、液晶TVの設置。またスターンコクピットのガンネルにはチーク材を施工しています。細部にわたってはまだ数々あるのですが、後は写真でそのいくつかを説明しています。

LEWMARスラスター 185TT6.0Kwを取り付けています。この船のサイズとしては少し小さいのですが、港の出入りだけの使用ですのであえてこのサイズの上の内径250mmを避けました。

チーク張りしたブルワークトップにアップダウンできるニートクリートを設置してフロートが横に吊り下げられるようにしています。バウ側は邪魔にならないので通常の4ホールステンレスクリートで設置しています。

アフトコクピット全体を見ていますが、細かく言うとゴミ箱、クーラーボックス、コンセントボックス、ロッドセイフティーライン用クリート、ハリヤードラインの設置等があります。

サイドウイングの手摺りを切り落としてロッドラックを設置。下のハンドレールも設置しています。

マイボート・ロッドキーパースーパーラーク。90°首振りですのでこの位置がベストです。

驚きの明るさのアンダーウォーターライト。これは元々付いていました。

航海灯はアメリカ製ですが日本の検査に合格。

エンクロージャーはアメリカで2回も細かいところをクレームしたため最後には日本人は嫌いだとまで言われましたが、作ってきて正解でした。日本ではこの値段では作れませんし、次回からはサンプル型として役立つでしょう。

帰港後のフィッシングタックルの水洗い中です。ロッドもFMSでお世話させていただいたカスタムロッド。これだけピンクに囲まれるとこの色も中々美しく見えてきました。

最終艤装を終えて出港前の給油を行いました。船名はミスリバティー。輸入では色々と苦労しましたが、完成された船を見ていると徐々に達成感が沸いてきました。

一覧へ戻る