P.88,89 待望のスパンカーボート誕生

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5.待望のスパンカーボート誕生
近年、国産フィッシングボートに「風流れ対策されたボート」がようやく出現し、ボトムフィッシングに新しい流れが起きてきました。すなわち、スパンカーを装備して有効な船舶が、ようやくカタチになり実を結び始めたということです。このことは、各メーカーが以前フィッシングボートといってFRP製のボートを生産して以来のことで、長い年月待ちに待っていた待望のボートの誕生であることはまぎれもない事実であると言っていいことだと思っています。したがって、これからFMSは、このように「風流れ対策されたボート」のことをフィッシングボートと呼ぶのではなく「スパンカーボート」と呼ぶようにしていきたいと思います。

1996年にFMSが訴えたこと
1996年2月1日、赤い表紙の「FMSテキスト&マリンカタログ1996」を発行。このカタログでは、「ボトムフィッシングに必要な装備と船の操り方の基礎知識」として、アンカーによる掛かり釣り、パラシュート型アンカーによる流し釣り、スパンカーによる一本釣り(流し釣り)等の釣り方の違いによる船の操り方の基礎知識をマスターしていただけるよう解説しているのですが、その中のスパンカーに関しては、スパンカーの有効性と、スパンカーを装備して適用する船舶の条件と題して船の性能に疑問を投げかけています。それはつまり、レジャー用フィッシングボートには、スパンカーを装備しても有効な船舶はほとんど無かったことを意味しています。(当時は各地の地域造船で製造された遊漁船や漁船以外にそのような船はほとんど無かったのが現状でした。)
日本のボートフィッシングの中心はなんといってもボトムフィッシング。しかし、単に静止安定性に優れたボートはあっても、風流れ対策された船はほとんど見受けられないのが現状。そういった状況を以前から感じ取っていたFMSは、我慢の限界を感じ1996年この赤い表紙のカタログで訴えていきました。この年の2月に行なわれた東京国際ボートショー、FMS展示ブースで大きなテーブルの上に海底のポイントを作り、風と潮の流れを矢印で表現し、小さな船で操り方を実演致しました。この時、船首がすぐに風下に流れる船がいかに操れないかを訴え、皆さんから賛同を受けたことも記憶しています。

 

1999年までの試行錯誤
船を風上に向けて静止させ、いざボトムフィッシングを行なおうとする。しかし当時はすぐに風の影響で横流れしてしまい、あっという間に船首が風下に向いてしまう船がほとんどでした。それは、そもそも問題は船型にあったのですが、スパンカーさえ装備すれば風流れしないと思われる人がほとんどで、遊漁船並みの効果が得られると信じられていたくらいでした。そしてさらに、スパンカーを装備しても船自体が風流れしてしまう船型のため、本来得られるはずの50%すら有効な効力を得られないのが現状でした。そのため船首喫水下のステム面積を上げるためにFRP製の加工物を貼り付けたり、上下できるダガーボードというボードで対策したり、試行錯誤を繰り返していたのですが、あっという間に船首が風下に向いてしまう船ではスパンカーが機能しないことを、ユーザーに説明するのが非常に大変な日々が続いたことを今でも覚えているくらいです。(お客様のほとんどは、フィッシングボートを買ったのだからスパンカーは効くだろうと考えている人ばかりでした。)
そうこうしている内に、船首が風下に流されにくい船とスパンカーの有効性について述べた「FMSテキスト&マリンカタログ1996」がメーカー、ユーザー両方から大きな反響を呼ぶことになり、メーカーの設計チームに招かれ、その理論をおしみなく伝えたり、強引にダガーボード仕様に在来艇を改造したりして、風流れしにくい船の開発をメーカーに促していったのであります。

 
コメントの内容は…
「2000年に入り、船首が風下に流されにくいタイプのフィッシングボートやレジャー漁船が発表されています。このタイプの船にはスパンカーを有効的に装備すれば船を潮流の方向に流れるように制御することができ、一定のポイントで仕掛けを投入することが可能になります。ボトムフィッシングでの一本釣り(流し釣り)がより本格的に楽しめるようになりました。」

そしてついに2000年の東京国際ボートショーで、待望の新船型フィッシングボートが誕生。ヤンマーLF26Z、EX28B、ヤマハUF-260B/SDがそのボート達で、どちらも独自開発された新船型を持つ画期的なボートでありました。10年来訴え続けてきたことが現実となった記念すべき年でありました。
 

風流れ対策されたスパンカーボートの性能を立証2004年、日本を代表する2大メーカーの共同開発第1号艇として誕生したのがヤマハUF-27I/B、そしてヤンマー EX27Y。この共同開発艇はヤマハのウエーブスラスターブレードを持つ船型を基本に、ヤンマーのインボード艇のノウハウが取り入れられています。この進化によってフィッシングボートとしての重要な課題をクリアし、トータル的に性能向上が図られているスパンカーボートといえます。そこで、今回ヤンマー EX27Yを使用して、船首が風下に流されにくいという特性の利点を以下に立証しています。

ポイントの上で船首を風上に向けて船を静止。水深30m、船長の合図で仕掛けを投入します。

船首が風下にジワリ流されていきますが、このぐらいなら前進して補う事でまだ釣りになります

このくらいになると、舵を切って前進しても元の位置に帰ることはできません。ここまでの所要時間約4分。

完全に横を向いて大きく横揺れしています。

この状態になるまで8分間ブイからさほど離れません。

ボトムフィッシングしやすい点
風速は3〜4m潮流の影響はほとんどない状況で、ブイの位置をフィッシング時のポイントとして仮想し、船首を風上に向けて静止(写真1)してこの船の風流れを試してみました。結果は写真2、3、4と船は変化し、8分経過したところで船は真横を向いています(写真5)。
ここでいえることは、各々の写真下に解説しているように船首が風下に風流れしにくいため、操船により船を制御できるので大きく外れることなくポイントを維持していられると言うことになります。逆に、風流れ対策が施されていないボートではすぐに船首が風下に向いてしまうため、操船でのボートの制御は不可能です。したがってEX27Yの場合、写真2の位置でスロットルを前進に少し入れることですぐに船首を立て直すことができるので、ボトムフィッシングには非常に適したボートであるといえます。さらにこの船にスパンカーを装備して補うことができるならその効果は一層アップします。

離着岸しやすい点
船首が風下に流されにくいという特性には、もう一つ大きなメリットがあります。その効果は離着岸、特に着岸時に大きく現れます。進入角度を保ちながら桟橋に近づき、例えばその時に桟橋側から風が吹いている場合、推進力を失うと風流れしやすいボートでは船首が桟橋側から遠ざかってしまいます。それは船首にボートの基準がないからであり、EX27Yの場合は推進力を失っても船首に基準があるため、桟橋に到着するまで前進性を保持してくれます。したがって桟橋に近づいたら大きく舵をきることによって船首を軸にして船尾を曲げることができるため、最終的にスムーズな着岸が可能となります。

進入角度を保ちつつスローで桟橋に船を近づけていきます。この時、風が桟橋側から吹いているとすると。

船首が風流れしやすい船の場合、推進力を失うとご覧のように船首は風下に振られ桟橋から離れてしまいます。

EX27Yは風流れ対策されたスパンカーボートなので、推進力を失っても風下に流されることはありません。

スパンカーボート達とFMSマイボート・スパンカーの適合表
風流れ対策されたボートが各メーカーによって生産され発表されたのは1999年10月。その日から今日までスパンカーボート達が発表された年月と艇種を記載し、FMSがこの時が来るのを願って開発したマイボート・スパンカーとの適合サイズを記しましたので参考にして下さい。

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