テキストP.6 代表的な対象魚と基本的な曳釣り漁法の種類

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魚を曳釣り、トローリングで釣るためには、魚の習性を理解して、目的の対象魚を捕まえる適切な漁具・漁法により行なわないと効果があがりません。これらのことをよく理解した上で自船のもつ設備と道具で挑戦することが成果をあげる最大の要素となります。

1. 代表的対象魚
日本の沿岸で、曳釣り、トローリングをする場合代表的な魚として、カツオ・メジマグロ等の暖流系の魚と、イナダ・ブリ・ヒラマサ等の寒流系の魚がいます。この2つの系列の魚は、同じ漁具・漁法で釣ろうとしても全く相反するような性質があるため、そのことをよく理解しておく必要があります。

条件 暖流系の魚
(カツオ・メジマグロ等)
寒流系の魚
(イナダ・ハマチ・ブリ等)
水温・水色 18~25℃の比較的高めの水温を好み、水温の変化には 敏感に反応し魚群の移動が早い魚です。
水色に関しては、 暖流系の澄んだ水色を好み、潮境・潮目等に魚群が集ま り易い魚です。
16~22℃の比較的低い水温を好み、水温の変化よりも水色の透明度の変化に影響を受け、澄んだ水色よりもや や濁った水色を好みます。沿岸の根・瀬の周りなどに魚 群が集まり易いです。
ギジエサ(ルアー)の
好みと
色合い
比較的小さめな動きがあるギジエサで、カグラ(ギジエサの頭部分)は光り方の強いものを好み、色合いは、白、青、 ピンク、オレンジ、銀色等がよいとされています。
但し メジマグロには茶系統も使用されます。 
ギジエサは大きさよりも、余り強く光らないで、水に入れて変化のあるものを好みます。
色合いは、赤やピンク 系統が圧倒的に多く使用され、澄んだ水色には、青、銀 色等もよいとされています。
釣り針 カツオは口が切れ易いために、2本針、3本針の大きめなサイズや4本針を使用します。
メジマグロ(5kg以下)に も2本針を使用します。
通常1本針が基本で、沿岸のゴミなどが多い海域を曳くため、2本針はゴミが掛かりやすく動きも妨げるので、ピ ンク糸付の1本針を使用することが理想とされています。
代表的漁法 ヒコーキを使う表面曳釣り漁法、潜水板を使う板引漁法 バクダン曳釣り漁法、ビシヤマ曳釣り漁法。 ヒコーキを使う表面曳釣り漁法、ツバメ板を使う中層曳 り漁法、弓角を使う板引漁法、ビシヤマ曳釣り漁法。
船のスピード 船のスピードは速めがよく、通常4~6ノットでヒコーキと潜水板両方を使用して行います。 ヒコーキの場合は4~5ノットで、中層曳釣りの場合は、やや遅めの2~3ノットで行います。
道具の長さ 船から出す道具の長さは比較的短い方が効果があります。
ヒコーキの場合は15~30m、板引の場合は10~15mで 喰付きのよい時は、さらに短くしていくことが必要です。
道具の長さは長めがよく、ヒコーキの場合は30~50m、 板引の場合は20~30m位が必要です。
魚の喰付きが悪 い時は、多少長めの方がよい効果を上げてくれます。

2.基本的な曳釣り漁法の種類
曳釣りの方法としては、大きく分けて海の表面(表層)を曳く表面曳釣り漁法と潜水板等の板や、ビシヤマ等の鉛を使ってギジエサを海中に潜らせて曳く中層曳釣り漁法の二つがあります。これら全てをトローリング(ロッド、リールを使用した釣り)に活用すること不可能ですが、基本的な曳釣り漁法ですので、よく理解しておく必要があります。

○表面(表層)曳釣り漁法
●素引き表面曳釣り漁法
この漁法は、ギジエサ(ルアー)のもつ動きを利用して、表層を泳ぐ小魚の姿を作り出し、魚に喰付かせます。
ギジエサの型に特長があるものを使用します。

●ヒコーキ表面曳釣り漁法
ヒコーキの後ろにギジエサを2~4ヶ付け、ヒコーキの効果(動き、水音)によって魚を集めギジエサに喰付かせる漁法です。
どんな魚にも広く使用されている方法です。

●バクダン曳釣り漁法
バクダンと呼ぶ一種のヒコーキの後ろにビシヤマの鉛を付け、重みを出し、シャクリ動作を作り出してギジエサを動かす漁法です。
FRPタイプのアウトリガーロッドが必要です。(トローリングでは不可)

○中層曳釣り漁法

●潜水板曳釣り漁法
海中で潜水板の動きを利用してすぐ後ろに付けたギジエサを本物のエサのように活動させる漁法です。
(大変強い力が掛かりますので、トローリングでは不可)

●曳板中層曳釣り漁法
曳板は海中に潜らせることだけで利用し、その後ろに長く延ばして付けたギジエサの泳ぐ姿で魚を喰付かせる漁法です。
(大きいサイズの曳板は、トローリングでは不可)

●ビシヤマ曳釣り漁法
鉛を付けたビシヤマと呼ばれる道糸を長く海中に投入して曳釣る漁法で、鉛の重さとたるみでギジエサを泳がせます。
(トローリングでは不可)

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