テキストP.5 曳釣りとトローリングに必要な船の操船の基礎知識

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通常、曳釣りとトローリングの場合、船のスピードは、表面曳きで4~7ノット、中層曳きで2~5ノットで走行して行ないます。対象魚によって多少異なりますが、海が荒れている時はスピードを遅く、おだやかな時はやや速く曳くとよいとされています。
曳釣りとトローリングに必要な操船の基礎知識
広い海をただ漫然とボートを走らせるのではなく、魚のいる場所を見極め何らかの根拠があるところでギジエサ(ルアー)を流すということから曳釣りとトローリングは始まります。
魚のいる場所については前項"魚はどんなところにいるのか"(季節的にみた魚の居場所・時間による魚の居場所の変化・潮の状況からみた魚の居場所・鳥山を発見する・根付きの魚を狙う)を参考にして下さい。

1. 潮流に対して逆らって船を操船
海の魚は、食べる事が唯一の趣味ではないかと思われる位、常にエサを求めて行動しています。魚は索餌行動中潮流に逆らって泳ぐ習性があり、追いかけて喰い付くことを考えると、船の操船は潮流に対して逆らって行なったほうがヒットする確率は高いことになります。
したがってポイントに対して潮流に逆らって操船する場合、直進するとすぐにポイントを通りすぎてしまうため、図1のようにジグザグに進みポイントを外したら真っすぐに帰るということをくり返すという操船が有効です。

2. 太陽を背にして船を操船
ギジエサ(ルアー)でだまして魚を釣るということは、喰い付く魚にとっては、ほんものの生きた餌のように見えることが重要です。では、魚にとってどんなギジエサがほんものの餌のように見えるか?ということになりますが、実際には釣ろうとする魚が最もよく食べている餌にギジエサが類似していれば、魚は喰い付いてくれます。したがってギジエサの大きさ、型、色だけでなくその光り方、動き方等も魚に発見される重要なポイントになります。
専業漁業者の間で、太陽に向かって直進するな?とよくいわれますが、その理由としては太陽の光で魚がギジエサを発見しにくいとされていますので、太陽を背にして船を操船したほうが魚がヒットする確率は高いということになります。

3. 魚群の先へ先へと船を操船
鳥山、ナブラ(魚に追われている小魚の群)などによって魚群を発見して、真正面からその中に船を進めてしまったら、魚群が散らばってしまいせっかく発見したチャンスをだめにしてしまうことになります。
このような場合、基本的には鳥山、ナブラの進む方向を確認して、魚群が散らないようにその周りを大きく旋回するようにして、魚群の先へ先へと船を操船してルアーが群れの先端に入るようにすることが大切です。(図3)
魚群を発見するということは、曳釣り、トローリングにとって最大のチャンスです。ギジエサが群れの中に入った瞬間バタバタとヒットすることが多く、釣り上げることに集中してしまいがちですが、魚がヒットしてもその魚群の進む方向を見失わないようにすることが、次のチャンスを生む秘訣になります。さらに魚群のスピードが速く、なかなか追いつかないような時は、全速で追うことなども必要であり、やはりその場合でも群れを散らさないように魚群の先へ先へと船を操船して周り込むようにすることが重要です。

4. 潮目の境を交互に操船
潮目には、ゴミや流木などが沢山流れていますので、エサとなる小魚が自然と育ってきて、それを求めて魚が集まっています。
このような潮目の中に入ってしまうと、釣針にゴミなどが掛かってしまい魚を釣るのではなくゴミを釣ってしまうことになります。ましてエンジンの冷却水吸入口からゴミを吸入したり、プロペラに巻いてしまったりすると大きなトラブルにつながってしまいます。
このような潮目に対しては、境を曳くように操船します。ゴミが無い所で潮目の反対側に渡り、ぶつかりあう潮目の両方の境を曳きます。

また、大きな潮目に入ってしまうこともよくあります。気付いたら波だっていて、周囲を見渡すと所々にゴミあり、魚がいそうな気配がします。実際、ヒットする確率は高い海域ですが、操船では最も注意が必要であり、このような海域では海面の浮遊物より海中に流れる物が多いので、見張りを付けゴミをよけながら操船することが重要です。

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