テキストP.2 曳釣りとトローリングの違い
カタログPDFはこちらボートでの釣りといえば、すぐに頭に浮かぶ言葉に“トローリング” があります。
それほど、トローリングという言葉は、我々の頭の中に印象深く焼きついています。
豪快なマーリンとのファイティング・シーンなどは、まさにトローリングの醍醐味です!
あるいは、旬のカツオをたくさん獲るのは、曳釣りの面白さ!!
このトローリングと曳釣りは、ふだん何気なく使っている言葉ですが、その違いはいったいどのあたりにあるのでしょうか?
このページでは、ボート・フィッシングを楽しむ上で重要な、曳釣り、トローリングという釣り方の違いと内容を、このページなりの解釈で解説してみることにします。曳釣りやトローリングといった言葉は、意外と混同されていて、かなりあやふやな使い方をされているようです。もちろん諸氏により解釈の仕方もさまざまあるでしょうし、ここでそれを定義づけるようというのが目的ではありません。あくまでも、フィッシングを楽しむ上で、知っておくと便利な知識として、考えていただければよいと思います。曳釣り(曳き縄釣り)とトローリングという釣り方は、いずれも疑似餌や生餌を船で曳きながら魚を釣るという点では共通しています。ボートを使用して楽しむ曳釣り、トローリング以外の釣り方といえば、アンカーを打って行なう掛かり釣りや、船を流しながら行なう流し釣りというように、ボトム・フィッシングになります。
ところで、肝心な曳釣りとトローリングの大きな違いはどこにあるのでしょう…。両者の違いは、どうやら各々の釣り方が誕生し発展してきた背景にあるようです。曳釣りが日本で誕生し成熟してきた釣り方に対して、トローリングは、主にアメリカを中心にして発達してきた釣りということができます。ここに、魚へのアプローチの仕方の大きな違いが出てきました。
日本では、昔から生活の糧とするために魚を捕獲し、それを専業とする漁師という職業が自然発生しました。その漁師が魚を獲る上で発達、発展させてきたのがさまざまな漁法で、その中のひとつに曳釣りがあります。
曳釣りは、生活の一部として発達してきたフィッシングだけあって、効率よく確実に魚を獲ることを目的にしています。ロッドやリールは使わずに、ラインも丈夫なものを使用します。そうして手で糸を扱いながら釣果を上げるという、漁師風の釣り方です。この釣り方には、ゲーム性は一切ありません。
一方、アメリカを中心に発達したトローリングは、魚を獲って食べる(イコール生活の糧とする)ことに主眼をおいたフィッシングではありませんでした。あくまでもスポーツ性を重視した、スポーツ・フィッシングだったのです。
トローリングの発展の過程では、記録として競い合うために統一した詳細なルールが設けられ、ゲーム・フィッシングというスタイルで一般に楽しまれています。細いロッドにリール、決められたライン・クラスを使用して、何時間も魚とファイトをし、釣り上げることもあれば、逃げられてしまうこともしばしば…です。
さて、実際にマイボートで楽しむフィッシングとして、どちらの釣り方を選ぶかは、目的をどこにおくかで、それぞれを使い分けるとよいでしょう。とにかくたくさん釣るのを目的とするのか、それともスポーツとして楽しむのか…。
前者であれば曳釣りが絶対にお勧めですし、後者ならば、ロッドとリールを使いダイナミックな魚とのやりとりが楽しめるトローリングに限ります。
とはいっても、アウトリガーなどの艤装内容によっては、両方の釣り方を楽しむことは可能ですし、これにより魚を獲る確率を上げることもできます。ある程度魚を獲ったら、スポーツ・フィッシングを楽しむというのも良い方法です。
両方の釣り方をボート・フィッシングで満喫できれば、より充実したボート・ライフを送れるはずです。