本格的なファイティングチェアー(フットレスト付)の船体へのフィッティング・ポジション
本格的なファイティングチェアーを利用したビッグゲームの世界は、アフトコクピットが戦いの場となります。戦いの場であるアフトコクピットでスムーズなクルーワークを行なうためには、チェアーのフィッティングが、大きなキーポイントになります。そのため何よりも心がけなければならないことはフィッシングの機能を重視したセッティングです。
本格的なビッグゲーム用のチェアーの取り付け位置は、スターンに向いたチェアーが左右各90度の回転が可能で、さらにフットレスト前方(写真のA)に人が入れる空間が必要です。チェアーのフットレストが邪魔して、リーダーマンやギャフマンなどのクルーワークの妨げにならないことが大切です。
次に、チェアーから船のバウ方向180度に関しては、チェアーの回転をサポートするクルーが、十分作業できる空間が必要になります(写真のB)。以上の点を十分考慮した上で、ファイティングチェアーのポジションを決めることができます。
最後に考えなければならないのが、ファイティングチェアーのデッキからの高さです。チェアーのデッキからの高さといっても、邪魔になるのはブルワークトップとの位置関係に関してのみです。要するに、ファイティング中にロッドを低く倒した時、ブルワークトップにロッドが当たらないだけの高さが必要なのです。この調整を疎かにすると、ブルワークトップにロッドが当たり、ロッドの破損をまねくことにもつながります。
船のサイズによるチェアーの選択
ボートのコックピットの広さは、ファイティングチェアーを選ぶ上で、考慮しなければならない大事な要素です。アフトコクピットの機能・運動性を重視して、デッキのサイズに合ったタイプを選ぶことが重要です。例えば、フットレスト付きチェアーを選ぶ場合は、アフトコクピットの前後の長さが、トランサムより2.2m以上あるボートでないと、ファイティングチェアーが持つ機能を最大限引き出すことが不可能になります。アフトコクピットの長さが2.2m以下の場合は、始めからいくつかのハンディを背負っての設置となります。
対象魚によるチェアーの選択
一口にファイティングチェアーといっても、対象魚を中心に考えてみるだけで、2つのタイプに大きく分けられるようです。1つのタイプは、カジキやマグロといった大型の魚を対象に考えたビッグゲーム用のファイティングチェアー(フットレストがセットされたタイプ)。もう1つは、フットレストがなく、チェアーにフィッシングジンバルがセットされたポピュラーなチェアーです。ビッグゲームを重視しないアングラーならば、後者のタイプで十分です。といっても、後者のタイプでビッグゲームを楽しめないというわけではありません。チェアーの前にクーラーボックスなどの物を置いてフットレスト代わりにするなど、いろいろ工夫することで、パーフェクトではありませんが、大型魚とのファイティングも十分可能になります。
ポピュラーなファイティングチェアー
“固定式と移動式のフィッティングテクニック”
●固定式
シートベースをデッキに直接取り付けずに、デッキに支柱板(デッキプレート)を固定すれば、ファイティングチェアーをシートベースごと簡単に取り外すことができます。このため、アフトコクピットをフィッシング以外の目的でも有効に使用することができます。
▲ステンレスのアングル材などを利用して、裏面のスペースをしっかりと補強すれば、オープン型のエンジンハッチに固定式のチェアーを取り付けることができます。
●移動式
チェアーを設置したいデッキ中央部には、アイ(突起が少ないもの)を1個固定して、チェアー本体の裏側にもアイを取り付け、デッキとチェアーを、ワンタッチ金具(スナップシャックル等)などを使用して、ロープやワイヤーなどで繋ぎ固定します。こうすることで、船がローリングした際などでも、移動式チェアーが不安定になることを防ぐことができます。